このたびは、当協会主催の鎌倉プロモーションフォトコンテスト2023~また鎌倉で~にご応募いただきまして誠にありがとうございました。
全応募作品1,399点の中から厳選なる審査の結果、次の作品が入選されました。皆様ご応募ありがとうございました。
『カラフルな短冊』 |
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撮影者:石井 良明 |
場所:鶴岡八幡宮 |
(撮影者のコメント) 7月7日(七夕の日)鶴岡八幡宮舞殿手前の階段に小さな短冊に願い事が書かれていました。短冊がすごく色彩豊かな色で前ボケで、舞殿の屋根に焦点を合わせました。 |
(審査委員長からのコメント) 応募された作品の中でもカラフルな美しさが一段と目を引いた。コメントを読んだことで画面手前ボケの正体がわかった。色とりどりの小さな短冊越し、遠景の舞殿にフォーカスを合わせた故に、伝統的な建物や歴史までもが生き生きと楽しそうに蘇った。写真技術の知識に裏打ちされたアイデアが見事に結実しましたね。 |
『海街の十五夜』 |
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撮影者:山内 明徳 |
場所:七里ヶ浜 |
(撮影者のコメント) フルムーンの月の出を、鎌倉高校前駅の海辺から狙ってみました。海は大荒れで飛沫で煙った空気でしたが、海街らしい美しい月をとらえることができました。 |
(審査委員長からのコメント) 海からの飛沫が、この瞬間の空気を感じさせ、遠近感や温度、ひいては潮の匂いまでも想像させる。斜面に拡がる日常の営みの遥か遠くから、見事な満月が顔を出した。神々しいくらいな自然を爽やかなドラマとして見ることが出来た。 |
『新春・梯子乗り』 |
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撮影者:森﨑 清光 |
場所:鶴岡八幡宮(手斧始式) |
(撮影者のコメント) 鎌倉のお正月。源頼朝がここ鶴岡八幡宮再建の折に始めた営繕の事始めの手斧始式が終わると梯子乗りが始まりました。初詣の人々も新春らしい光景に見入っていました。 |
(審査委員長からのコメント) かけ声をかけたくなるような決まりのポーズを捉えた。よく見るシーンでことさら珍しくないが、「文句は言わせないぞ」とばかりの画面構成が見事。屋根の甍越しに「迎春」の迎の字を覗かせたのがお決まりの場面に春の味を加えた。 |
『益荒雄』 |
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撮影者:見空 克己 |
場所:鶴岡八幡宮(例大祭) |
(撮影者のコメント) 益荒雄の幸矢手挟み立ち向かひ射る的方は見るに清けし…由比ヶ浜の方向に鮮やかに矢が放たれる景色は、この万葉歌を彷彿させました。 |
(審査委員長からのコメント) 毎年必ず目にする鶴岡八幡宮流鏑馬のシーンだが、的を射た瞬間を見事に捉えた。作者のコメントに「射る的方は見るにさやけし」とあったが、文字通り射手も観客も疾走する馬も、この写真を見た私も巻き込んでさわやかな気配を感じる。 |
『ほほえみ』 |
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撮影者:大谷和男 |
場所:鶴岡八幡宮 |
(撮影者のコメント) 鶴岡八幡宮舞殿で行われた結婚式を終えて花嫁さんが降りてきました。白無垢の綿帽子から僅かに見える花嫁さんの口元がうれしそうにほほえんでいるのが、とても印象的でした。 |
(審査委員長からのコメント) 白っぽく明るい衣装に身を包んだ3人。手前の二人は後ろ向きで主役の花嫁は横顔。なんといっても彼女の笑顔が全てを物語る。白無垢の綿帽子に隠れて顔半分は見えないにも関わらず、笑みを含んだ口元が魅力的だ。暗く落ちた背景がより効果を発揮した。 |
『傘も咲く』 |
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撮影者:早野 未明 |
場所:明月院 |
(撮影者のコメント) 紫陽花満開の明月院を訪れました。あいにくの雨でしたが、参拝客の傘も満開に咲いていました。参道をうめる傘の花は、コロナが収束し、人出が戻ってきたことを象徴しています。 |
(審査委員長からのコメント) 作者も明月院の紫陽花を見に来たのだろう。しかし、花を撮らずに色とりどりの傘の列に注目したことで、美しくもあり、またドキュメントとしても見ることが出来た。雨の中、これだけの参拝客が戻ってきたのだ、とコロナの終息も感じさせる。 |
『特等席』 |
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撮影者:内村 奈緒子 |
場所:建長寺 |
(撮影者のコメント) この時期の半僧坊大権現の参道はさまざまな色に染まっていて好きですが、てっぺんにいる烏天狗さんはどんな景色を見ているのかなと、後ろから失礼しました。足下から海までが色づいていく様も、終わっていく様も見ることができる、まさに特等席でした。 |
(審査委員長からのコメント) スマホ特有のタテ長画面が効果的。天狗の足元の紅葉から遠景の水平線まで、まさに烏天狗の視線が写りましたね。「烏天狗さんはどんな景色を見ているのかな」と作者の好奇心が実を結んだ。まるで空撮したような作品だね。 |
『富士山がふたつ?』
撮影者:吉川 亜紀
場所: 湘南モノレール「湘南深沢駅」
※2023年現在、サーカスのテントはありません。
(撮影者のコメント)
湘南モノレールの湘南深沢駅に木下大サーカスのテントが現れて、子ども達が大興奮!!ここは富士山が綺麗に見えるスポットで、
サーカステント×富士山の組み合わせに冬の澄んだ空気と夕焼けが相まって非日常な雰囲気を感じました。
(審査委員長からのコメント)
夕焼け空のグラデーションが美しいのは当たり前だが、この作品には美しさだけでない抒情が写っている。
淡い色彩の空に枝がシルエットで覆い被さり、遠景赤焼けの富士山に対峙したサーカステントのてっぺんには、まるで音を立てるように小旗が風ではためいている。
よくこのアングルに出会いました。見る者の心打つ写真だ。
『鎌倉恋占い』
撮影者:春木 功
場所: 長谷駅前通り
(撮影者のコメント)
観光地でもある鎌倉には、訪れた人に楽しんでもらえるよう鎌倉のシンボルが描かれた色々なグッズやお土産が街中に溢れています。それらで鎌倉を表現したいと思いました。
(審査委員長からのコメント)
「うわあ、この大仏写真は傑作だよ」が私の感想。恋占いのおみくじを目にして、この写真を撮った作者は只者じゃない。
画面殆どの面積をボケたスーパーボールに任せておいて、なんとも惚けたイラストの大仏。でも、鎌倉ならではの作品だよ。「どんなもんだい!」と胸張って見える大仏。
『内なる力』
撮影者:浦林 翼
場所: 鎌倉大仏殿高徳院
(撮影者のコメント)
動かぬ仁王像ですが、影の動きで表情が変わるように感じます。穏やかな雰囲気の鎌倉にあっても、そこには確かな力強さを感じました。
(審査委員長からのコメント)
網越しの金剛力士像の顔だけをクローズアップで切り取った。
画面の中央に配置せず、左に寄せたことで影の面積が多くなり、少ない明部がより効果的だ。左の眼を覆う落ちた影によって金色に光る眼球が力士像の迫力を強調する。
『夕暮れの華』
撮影者:望月 敏一
場所: 材木座海岸
(撮影者のコメント)
夕暮れの材木座海岸で見た、夕暮れの幻想的で不思議な光景だったので思わず写しました。
(審査委員長からのコメント)
ウインドサーフィンがまるで海に乱れ翔ぶ蝶のようだ。逆光に透けたカラフルな帆がこれから空を舞い飛ぶ物語を予感させる。
軽やかで楽しい、新しいウインドサーフィンの幕開けだ、と言われても納得する。淡い夕日の色が見ている自分も物語に参加したくなる。
『鍛える』
撮影者:出島 宏一
場所: 正宗工芸美術製作所
(撮影者のコメント)
鎌倉、正宗工芸内での日本刀鍛錬風景です。玉鋼を鍛えると、内部にある銑鉄が燃えて飛び出してきます。この工房は700年前からあります。
(審査委員長からのコメント)
焼けた鋼を鍛錬するために鎚を振り下ろした瞬間、見事な火花が飛び散る。
知ってはいてもあらためて見せつけられると見事だなあと思わずにいられない。刀匠の顔が赤く浮かび上がるのも、鉄の熱さを証明する。
『雨にも負けず』
撮影者:中沢 賢治
場所: 長勝寺
(撮影者のコメント)
長勝寺の日蓮聖人を守護する四天王像はとても印象的です。その四天王に踏みつけられている邪鬼たちの姿はなんだかユーモラスですが、雨の日には思わずガンバレと声をかけたくなるくらい健気な様子に感じました。
(審査委員長からのコメント)
四天王に踏みつけられている邪鬼は濡れて青く光っている。
降り注ぐ雨の雫の一粒一粒が、私には邪気を励ましているようで微笑ましい。作者のコメントに「思わず頑張れと声をかけたくなる」とあるが私も同感です。
『坂道を越えて』
撮影者:佐久間 芳之
場所: 稲村ヶ崎(国道134号線)
(撮影者のコメント)
由比ヶ浜方面から稲村ヶ崎の坂道を登ると次第に見えてくる海と富士山がお気に入りです。年の初めに見る冬景色の清々しさや雄大さを写真に納めたく、冬晴れの日に撮影しました。
(審査委員長からのコメント)
この場所から見れば富士山がこう見える、と作者は周知でお気に入りの構図だろう。
自転車で走る人物と道路標識のシルエットを入れたことでスナップ的な軽さが加わった。風景写真の安定感を捨て、ビビットな軽さに着目した作者のセンスを評価した。
『丸窓を反対から見ると四角と桜が見えた』
撮影者:大久保 嘉太郎
場所: 明月院
(撮影者のコメント)
明月院の丸窓を反対側の本堂後庭園から見ると丸の中に真四角が見え、その向こうに美しい枝垂桜が見えました。正面から見る丸窓はとても好きですが、反対から見ても美しいですね。
(審査委員長からのコメント)
「合成?」と思わせるほどの幾何学的な構図に目を引かれた。円窓の内側にきれいに四角が嵌まった。
黒、白、黒と連続した中央に緑と枝垂れ桜の桜色のコンビネーションが美しい。パンフォーカスで写すことが出来たら、さらにグラフィカルな画面になっただろう。
『怒涛 〜稲村沖浪裏〜』
撮影者:石原 孝陽
場所: 稲村ヶ崎
(撮影者のコメント)
夕日が沈み、夕焼けのグラデーションが最も美しくなる時間帯に、打ち寄せる大波をストロボを使用することでまるで浮世絵のように切り撮りました。撮影時は波で体が濡れましたが、必死でした。
(審査委員長からのコメント)
タイトルどおり、波裏を見事に写しました。
だれもが知っている浮世絵を写真で再現した努力を評価。夕焼け空とストロボの光量バランスも大変でしたね。それにしても北斎は、動体をストロボで止めたような視力を持っていたんだな。
『空鏡』
撮影者:荒 良英
場所: 材木座海岸
(撮影者のコメント)
材木座海岸の濡れた砂浜がドラマチックな夕空を見事に映し出しました。真冬の空気は澄み渡り、遠く富士山や伊豆半島のシルエットもくっきり写りました。
(審査委員長からのコメント)
自然のなせることとはいえ、見事です。写真を見て真っ先に思ったことは、「空気が澄んでるなあ」です。
ワイドレンズを使い、こう撮ればこう写るという計算通りの作品に仕上げた作者の手腕も見事です。あまりに完璧だから計算以外の偶然が欲しくなる。
『闇夜の極楽洞』
撮影者:小川 文男
場所: 極楽寺山門前(極楽洞)
(撮影者のコメント)
昼間は暗い極楽洞。実は内部に照明があり、夜は極楽寺の深い闇の中で青白く不気味に浮かび上がっています。そこに江ノ電が来ると、トンネルの向こうの異界に吸い込まれていくようでした。
(審査委員長からのコメント)
鉄道写真の域を超えている。現実も超え、文字通り超現実的な世界にまで到達した写真だ。
これほど電車が魅力的に写っている写真もないぞ、と感激した。見事だねえ、光の映り込みも感動もの。さらに遠ざかるシーンも見たくなる。
『鎌倉源氏蛍』
撮影者:和田 一彦
場所: 鎌倉広町緑地
(撮影者のコメント)
緑地整備をされている皆様のおかげで安全に鎌倉の幽玄な大自然を鑑賞できました。ありがとうございます。
(審査委員長からのコメント)
蛍の写真は難しい。背景の自然光とのバランスや、シャッタースピードの設定、なんといっても蛍の飛び方次第でそれぞれ違った世界が表現される。この写真は蛍の持つ幽玄な印象を完璧に表現しました。
場所の選び方も成功している。ここを入り口に「幽玄」から「狂」にまで行き着いた蛍写真を見てみたくなる。
『残暑』
撮影者:石川 毅
場所: 鎌倉大仏殿高徳院
(撮影者のコメント)
高徳院の大仏様へ供えられる果物は、季節感をよく表しているように思います。まだ暑さの残る9月初旬、大仏様に供えられた西瓜からはちょっとした清涼感をいただけました。
(審査委員長からのコメント)
鎌倉大仏の写真はよく目にするが、これは季節感を感じさせ、また少しだけユーモアも含んでいる。
大仏にスイカ、ありがたい仏様もなんだか我々と同じところにいらっしゃる気がします。青銅色とスイカの緑色がとてもバランスよく気持ちいい。
『整然と』
撮影者:石関 勝敏
場所: 鶴岡八幡宮
(撮影者のコメント)
大祓の神事に宮司がお出掛けになる前に社務所の玄関で巫女さんが浅沓を整理整頓している姿がとても印象的であったのでシャッターを切った。
(審査委員長からのコメント)
厳かな風景であるべき場所を「ん?」と思わせる一瞬を切り取った。
かがんだ巫女の後ろ姿は少しだけローアングルの画角のせいか、朱の袴が強調され、日常からはみ出た風景に昇華した。モノクローム墨色の山水との対比が目を引きます。
『私も大漁旗』
撮影者:小嶋 典生
場所: 腰越漁港(船祝い)
(撮影者のコメント)
漁師さんの新年行事 腰越漁港「船祝い」で撮りました。マストに上がった漁師さんがまるで大漁旗の様に見えました。
(審査委員長からのコメント)
この写真を目にした瞬間、「なんじゃこれは?」でした。赤シャツの男が空を飛んでいるのかと思った。
コメントを読んだら「船祝い」で漁師の一人がマストに上がった、でした。なるほど青空に日の丸と大漁旗、賑やかでめでたい作品になりました。
『贅沢な朝景色』
撮影者:岡崎 健
場所: 江ノ島電鉄車内
(撮影者のコメント)
非現実を味わいたく、早起きをして江ノ電に。車窓が住宅街から海へと変わった瞬間、ダイナミックな朝焼けが私を迎えてくれました。電車の窓枠が額縁を彷彿させ、まるで芸術作品のようでした。
(審査委員長からのコメント)
本来、人がいるべき電車内は誰もいない。
窓枠越しに見える朝の空がより一層静寂と清々しさを感じさせる。窓外の景色の美しさだけでない現代的とも言っていい画面に漂う余韻は、ひとえにタテに切り取った構図にある。
『厄除大祭』
撮影者:岩永 憲明
場所: 鶴岡八幡宮(鶴岡厄除大祭)
(撮影者のコメント)
鶴岡八幡宮で行われた厄除大祭の一場面です。神事の後、厄難焼納札が浄火で焼納されます。厄難焼納札が宙に浮いている瞬間を狙いました。
(審査委員長からのコメント)
厄除大祭の一場面とのこと。神官がこれから焼納される札を投げた瞬間を狙いました。
炎に向かって宙に浮いた札が、高揚する気持ちを象徴しているようです。どうだろう、もう少し炎を大きく捉えてみたら迫力も違って見えるのではないかな。
『江ノ電と花火大会』
撮影者:浅井 誠章
場所: 江ノ電「鎌倉高校前駅」付近(七・稲夏花火)
(撮影者のコメント)
コロナで鎌倉市の花火大会を何年も見られずにいたところ、七里ガ浜自治会による花火大会を撮影する機会を得ました。自治会が上げてるとは思えないほどの規模でした。今年は鎌倉市の花火大会も見られることを期待しています。
(審査委員長からのコメント)
夜空を彩る花火、そして江ノ電の車両。海岸通りを走る車のヘッドライトの光。
もうこれは鎌倉ならではの写真的要素が揃いました。とても綺麗な写真だけど、要素それぞれを説明する気持ちから、感動して心が震えた写真へと挑戦してみたらどうかな。
今年の応募総数は1,399点、その内から厳正なる審査を行い、一次審査を通過した作品は60点でした。今年もまた入選作品25点を絞るのに苦労しました。
最終的にグランプリ,スマホ賞を含めた入賞作品7点を選びましたが、他の入選作品との差は無いと言っていいほどの僅差でした。
テーマは結局のところ「鎌倉の魅力」を写真で表現してくださいですが、美しい写真であったとしてもよく見慣れた映像では、強いインパクトを得られません。共感を得ることを優先させずに、いかに作者が本当に心を揺さぶられたか、その真実性が作品に反映するのです。
あなただけの鎌倉を発見することから出発してみたらどうでしょうか。年々応募作品の質が上がっていますので次回も楽しみにしています。新しい鎌倉の魅力を発信していきましょう。
十文字 美信
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