このたびは、当協会主催の鎌倉プロモーションフォトコンテスト2024~やっぱりね鎌倉~にご応募いただきまして誠にありがとうございました。
全応募作品1,164点の中から厳選なる審査の結果、次の作品が入選されました。皆様ご応募ありがとうございました。
『さあ、行くわよ!』 |
---|
撮影者:森﨑 清光 |
場所:大日本弓馬会「流鏑馬鎌倉教場」 |
(撮影者のコメント) 大日本弓馬会の流鏑馬神事 Discover YABUSAME会場では、人馬一体の伝統の弓馬術を多くの外国人も堪能していました。女性射手が逸る馬の体制を立て直し、一の的へ向かう一瞬を捉えました。 |
(審査委員長からのコメント) 流鏑馬を題材にした写真は毎年のように応募される。中でも本作品が秀逸なのは、射手の緊張感みなぎる表情と姿態、それになんといっても馬の顔だ。流鏑馬は人馬一体である。写真作品の対象としては射手と同じくらい、あるいはむしろ馬の方が重要なくらいだ。向きを翻した瞬間の劇的な緊迫感が見事に捉えられた。 |
『怒る不動さま』 |
---|
撮影者:清水 昭博 |
場所:長谷寺境内 |
(撮影者のコメント) 長谷寺の紅葉を見に行ったとき、弁天窟脇の楓が真っ赤に輝いていた。ここから不動様を覗くと、赤い光背に包まれ、昨今の世界の混沌をお怒りになっているように見えました。 |
(審査委員長からのコメント) 一目見たら強い印象に残る写真。光に当たった紅葉を不動明王の光背に見立てたアイデアは大成功。まるで紅蓮の炎にも思われて刺激的だ。紅葉を大きく扱い、画面下方小さめに配したお不動様とのバランスもよく考えられている。美しく且つ強い作品になった。 |
『花吹雪』 |
---|
撮影者:大久保 嘉太郎 |
場所:建長寺境内 |
(撮影者のコメント) 4月初めに訪ねた建長寺。偶然花びらが吹き上がる場面に出会いました。この後、もう少し撮りたくてしばらく待ちましたがもう風は吹いてくれず、本当に一瞬の出会いでした。 |
(審査委員長からのコメント) 見るからに豪華で華麗で繊細で美しい。花吹雪と言うけれど、これは上から落ちて来たわけでなく、下から吹き上がった稀有な花吹雪。この瞬間の桜花のざわめきや、風の音が聞こえてくる。屋根下の闇が花びらを際立たせて美しい。鑑賞者にとっては贅沢な写真です。 |
『鎌倉はすぐそこだ』 |
---|
撮影者:須山 琉 |
場所:JR鎌倉駅ホーム |
(撮影者のコメント) 鎌倉駅に停まる特急列車越しに撮影した小町通りの鳥居です。「まるでドアtoドアで鎌倉に行けるみたいだな」と感じて手持ちのカメラでシャッターを切りました。 |
(審査委員長からのコメント) よくこんな写真が撮れましたね。私もよく鎌倉駅を利用していますが、見たことなかった。電車のドアというよりも、マイホームから見たような、鎌倉が身近に感じる楽しい作品になりました。偶然のチャンスを呼び込むのも実力の内です。 |
『彼方の月』 |
---|
撮影者:山内 明徳 |
場所:七里ヶ浜海岸 |
(撮影者のコメント) 海辺のフルムーンを撮りたくて、浜辺に立ってみました。いい波が来るのに合わせて、ちょうど月が上り始めてくれました。この月はすぐに雲に隠れてしまいました。 |
(審査委員長からのコメント) 作者が応募した他の作品もすべて写真としてレベルが高い。この一点を選ぶのに迷うほどだった。街のひかりを水面に反射させるために、打ち寄せる波のタイミングを狙って撮った。月の位置も合わせて、完成した時の作品のイメージがしっかり頭に浮かんでいる。感心しましたよ! |
『現代の螺髪』 |
---|
撮影者:大谷 和男 |
場所:鎌倉大仏殿高徳院境内 |
(撮影者のコメント) 外国人と思われる方が、大仏の前で拝仏されていた。その女性の髪型と大仏の大きさが印象に残った。 |
(審査委員長からのコメント) 大仏写真には珍しいユーモアを感じた。大仏のお顔や頭は見えないが、被写体になった女性の髪型から螺髪を連想したのだろう。時にユーモアは繊細な要素を含んでいるが、背負ったリュックのカラフルな色彩が明るい世界に着地させた。顔が見えないことで鑑賞者のイメージが広がった。 |
『タイムスリップ』 |
---|
撮影者:浅野 ゆかり |
場所:宝戒寺隧道トンネル |
(撮影者のコメント) 山が多く、「切通し」のような独特な景観が今なお残る鎌倉ですが、こちらは隧道(トンネル)内部です。 息を整えるために立ち止まり撮影した一枚でしたが、思いがけず「古都鎌倉」らしからぬ近未来的な写真となりました。 |
(審査委員長からのコメント) 撮影場所である宝戒寺に繋がる隧道(トンネル)に私は行ったことがない。たしかに鎌倉らしからぬ未来的な風景に見える。写真を見た途端「ここは何処?」と思わせる不思議な作品になった。まるで光の輪を潜り抜けるような、ここに行ってみたい、と思わせる写真。 |
『射影』
撮影者:石関 勝敏
場所: 鎌倉宮境内(草鹿神事)
(撮影者のコメント)
鎌倉宮の草鹿神事で鹿を射る時の射手を春の強い日差しを利用して強調したくてシャッターを切った。
(審査委員長からのコメント)
質の高い写真であり、また作品を創る時の勇気を評価します。影だけで射手を、神事そのものまで表現しようとした意識は写真の魅力を押し広げていくに違いない。弓を全体まで写さんがために射手の位置が右上に定まったことが、面白く画面に動きを感じさせた。
『「本日も晴天なり」』
撮影者:榎原 等
場所: 材木座海水浴場
(撮影者のコメント)
海水浴場・海の家・・・のシーズン最終日。行く夏を惜しむかのように賑わいを見せていた材木座海岸の昼下がり。7~8月のシーズン中、炎天の日も強風の日も海辺の安全を見守ってくれたライフガードに感謝の意もこめて・・・「本日も異常ナシ!」。
(審査委員長からのコメント)
劇的なドラマなど何もない故に、日常をスナップしてみたいという本来のスナップ写真の王道だ。ライフガードの赤いキャップとパンツ、白いシャツが青空に映えているから魅力的なのではなく、平和な日常の当たり前の一瞬がカラフルに写っているからホッとするのだ。
『火花』
撮影者:出島 宏一
場所: 正宗工芸美術製作所(ふいご祭)
(撮影者のコメント)
刀鍛冶工房でのふいご祭りの様子を天井にセットしたカメラで撮影しました。火花が会場に飛び散り迫力があります。
(審査委員長からのコメント)
同じ作者の写真で真上から撮った作品もあった。どちらもシャッターチャンスが的確で、信じられないような火花が飛び散っている。他の1点も同様に美しい。こちらの作品のわかりやすさに惹かれた。画面左の人物がシルエットになったため、火花の効果が強調されたのと工房の様子が実感された。
『稲村ヶ崎』
撮影者:宮脇 敏之
場所: 稲村ヶ崎
(撮影者のコメント)
風の強い朝、稲村ヶ崎近くの国道を歩いていた折、岬の陰の冬鳥の群れと、打ち寄せる波しぶきのコントラストを撮ってみました。
(審査委員長からのコメント)
いったいここは何処?と思わせる光景だ。生活空間のこんな近くに強く自然を感じる場所があるんだね。波に洗われた岩肌と寛いでいるような鵜の群れが、遠い孤島の一風景のようでもある。画面左の砕けた波の存在感を強調すればさらにこれを見た時の気持ちに近づけたのではないか。
『初セーリング』
撮影者:石井 良明
場所: 材木座海岸
(撮影者のコメント)
材木座で船おろしの日。大漁旗大きく手前に、小さくヨットを点景で撮りました。
(審査委員長からのコメント)
画面手前の旗を思い切り大きくボカして、遠景のヨットを小さく配した構図は斬新でしかも伝統的な浮世絵を思い出した。使用したレンズは的確だったか、フレーミングは納得出来たか。大漁旗の扱いにもう一工夫あれば、色彩だけが目立った作品からもう一歩飛躍しただろう。
『背中ごしに伝わるあたたかさ』
撮影者:小林 美菜子
場所: 鶴岡八幡宮境内
(撮影者のコメント)
七五三祝いの日。ご家族の背中ごしから見た鶴岡八幡宮の本殿が、優しく見守ってくれているようでした。ずっと変わらないご家族の愛と、ずっとここで皆を見守っている鶴岡八幡宮の温かさが、重なった気がしました。
(審査委員長からのコメント)
写真を撮った作者の感性に拍手だね。七五三の喜びと家族の愛を、背後から、しかもボケ味で表現した。鶴岡八幡宮本殿にレンズの焦点を合わせたことで、堂々とした自信が伝わってくるようだ。次元が違う魅力を作者の意識によって一つの世界にまとめ上げた。
『夕暮れの江の島と富士山』
撮影者:中越 椋音
場所: 七里ヶ浜海岸
(撮影者のコメント)
日も落ちて夜の帳が落ちる寸前の景色を切り取りました。
(審査委員長からのコメント)
富士山と江の島と稲村ヶ崎と引き波に映る夕焼け空。これもまた典型的な鎌倉の風景。これはこれで文句のつけどころもないが、この写真を撮った作者の感性があれば、あなただけが感じた鎌倉を発見出来るはず。次回はそんな写真を見てみたい。
『大盤振る舞い!』
撮影者:辻 裕治
場所: 腰越漁港(船祝い)
(撮影者のコメント)
漁業安全を祈念する新年行事、「船祝い」です。大漁旗で飾られた漁船から、大量のみかん等が撒かれます。威勢の良い新年の朝風景を撮ってみました。
(審査委員長からのコメント)
この「船祝い」の写真もいくつか応募された。中でもこの写真に惹かれたのは、シャッターチャンスが作り出した面白さだ。撒かれたみかんや菓子などが飛んでいく空中の造形、そして撒いた女性の真剣な素ぶりと表情がいい。受け取る人々の顔も同時に見えるアングルが探せたらさらに写真としてアップする。
『良き矢にてそうろう』
撮影者:関根 克義
場所: 鎌倉宮境内(草鹿神事)
(撮影者のコメント)
源頼朝が富士の巻狩を催した際に草で鹿を作って、稽古したのが起源の鎌倉宮草鹿神事。弓馬術礼法小笠原流の方々が奉納。古式にのとって行われ、途中、的奉行と射手との問答あり、さてこの矢は良き矢であったでしょうか。
(審査委員長からのコメント)
射手の真後ろから狙ったアングルが端正な造形になりました。無駄を省く古式礼法を的確にイメージさせる。逆光気味の光は美しい。画面中、的である鹿の扱いはどうであろうか?的の位置をレイアウト出来るわけではないので撮影者の思い通りにならないだろうが、せっかくなら鹿も射手と同じぐらい気を使って撮ってあげたい。
『お家に帰ろう』
撮影者:桑島 祐介
場所: 名越切通
(撮影者のコメント)
夕暮れ時、家路に向かう人を富士山が見守っていました。
(審査委員長からのコメント)
この写真の撮影ポイントは、鎌倉に詳しい人なら「ああ、あの場所ね」とすぐにわかるだろう。鎌倉を感じさせる典型的な要素が揃っている。電車と街の屋根と森と遠くに霞む富士山。そして夕焼けに染まった空。もう文句のつけようがない。さあ、次は典型から外れたあなただけが見つけた鎌倉に挑戦してみよう。
『鎌倉紫陽花』
撮影者:宮下 マリナ
場所: 極楽寺山門前
(撮影者のコメント)
雨上がりの極楽寺。紫陽花に夢中だった少女が振り返ると、そこには江ノ電がはしり、梅雨に少女を迎える江ノ電。
(審査委員長からのコメント)
紫陽花に江ノ電といえば、これもう鎌倉の典型です。降り止んだばかりの雨でまだ道路が濡れている。帽子を被り赤い傘を下げた少女、そして画面には写っていないが写真を撮った作者の息遣いを感じるようだ。なんでもない風景写真に見えるけれど、作者の優しさが滲み出ている。
『静かな空気の中を』
撮影者:山本 明美
場所: 妙本寺境内
(撮影者のコメント)
雪が降ると、音が雪に吸い込まれ消えていきます。心の煩悩も消えてゆくようです。雪に誘われ、無の世界へ向かいます。
(審査委員長からのコメント)
写真に付けられたコメントを読むと、作者の詩的な感性が伝わってくる。写真もその個性がそのまま表現されている。降り始めた雪で画面の大半をうっすら白く化粧した数種の枝が覆っている。どうだろう、手前の人物をもっと小さく写してみたら、もう一歩無の世界に近付けたのではないか。
『Twilight glow』
撮影者:松澤 春奈
場所: 由比ヶ浜海岸
(撮影者のコメント)
夏の海辺を散歩していたところ、薄明光線を見つけました。こんなに綺麗な夕焼けを初めて見て私自身も、とても感動しました。
(審査委員長からのコメント)
この写真は見てのとおり、ただただ美しい。海辺の夕焼け空を写した写真は無数にあるが、このような光の空は珍しいね。原版を見なければわからないが、人工的誇張もなくストレートスナップだとすれば自然の神秘すら感じる。空と海を背景にした光と色彩のドラマだ。
『貝拾い』
撮影者:丸山 真由美
場所: 材木座海岸
(撮影者のコメント)
久しぶりに材木座を歩いて、貝を拾いました。桜貝、見つけました。
(審査委員長からのコメント)
海岸を歩いていると普通に桜貝が見つかる、というのは鎌倉ならではの特徴の一つだろう。惜しいのは桜貝の美しさまで写真に写っていたら、より魅力的な作品になった。桜貝の美しさに意識を高めれば、どう撮影したらよいか自然に決まってくる。
『密かに映えますね』
撮影者:鎌田 るい
場所: 一条恵観山荘
(撮影者のコメント)
一条恵観山荘へ紅葉を探しに行きました。丸窓が密かに映える仕掛けになっていたので、きれいに撮影出来るように工夫しながら撮影しました。
(審査委員長からのコメント)
縦位置画面の中央から上下に分断された構成が目を引いた。現場に行ったことがないので正確にはわからないが、画面下の円窓は映り込みだと思うけど、途中で不自然に切れているのが、かえって静かで微妙な部屋の雰囲気を表現しているように思われた。計算を超えた映像も期待したい。
『60年の帰り道』
撮影者:平井 正友
場所: 円覚寺前の踏切(洪鐘弁天大祭)
(撮影者のコメント)
円覚寺の国宝「洪鐘」は60年に一度仏事として練歩くと知り驚きました。人生最高の機会に恵まれた幸せに感動しました。
(審査委員長からのコメント)
歴史的行事の衣装を身に纏った面掛け人が鉄道踏切を渡る。それを現代の制服を来た人がガードする。鎌倉ならではの風景と思い、選んだ。スナップの醍醐味は日常の中に潜む思わぬ一瞬を目撃することだ。珍しい光景を見たから、次にこれを見つけてどんな気持ちになったか、まで写せるといいよね。
『弥勒の手』
撮影者:望月 敏一
場所: 荏柄天神社境内(針供養)
(撮影者のコメント)
針供養の時訪れて、豆腐に針を刺す手があたかも弥勒菩薩を連想させるイメージだったので思わずシャッター押しました。
(審査委員長からのコメント)
針供養の写真も毎年応募されてきます。この写真は、背後の闇から浮かび上がるような豆腐の白さ、刺さった針のカラフルさ、そして何よりも供養者の服の袖が黒く針を刺している手が美しい。画面上部の御幣の扱いが惜しい。例え瞬間であっても画面全体に心を配りましょう。
『巨大雲』
撮影者:藤野 輝雄
場所: 由比ヶ浜海岸
(撮影者のコメント)
巨大な雲をめがけてサーファーがまさに海に入ろうとしています。あまりの巨大さに圧倒されました
(審査委員長からのコメント)
この写真も一目で美しさ、凄さが伝わる。神秘的で雄大な自然と巨大な雲に挑戦するかのようなサーファーのシルエットが魅力的だ。鎌倉の海は空が大きく広いので、ひかりのドラマが生じやすい。私はこの写真の雲の色に惹かれた。言葉では表せない赤く黄色い微妙な色彩に惹かれた。
蓋を開けてみたら、昨年より応募総数が減少していたのは少し驚いた。コロナも明けて人々が外に出始めたから、応募される方が増えているに違いないと予想していたからだ。 但し、数は減ったが今年の写真は例年にも増してレベル高い写真が多かった。選り分けて賞を決定するのは困りました。嬉しい困惑ではあったけれど。 カメラを手にすることで、同じ散歩でも手ぶらとは違った時間の過ごし方が出来る。気になった場所があったら立ち止まってまずその場で撮る。 それから見ている位置はこれでいいか、高低はと考えて、挙句に向こう側から見たらどうだろうかをイメージするのです。写真好きはそれだけでもワクワクしてくる。 好きな場所、好きな行事に立ち会えばなおさらイメージが湧いてくる。光と影は、色彩はと考えだしたら果てしない。いい写真とは、技術の前にあなたが本当に感じたかどうかなのです。
十文字 美信
© 2011-2024 Kamakura Photo Contest. All Rights Reserved.