2021年入選作品 / 入賞作品

このたびは、当協会主催の鎌倉プロモーションフォトコンテスト2021~いまだから、鎌倉~にご応募いただきまして誠にありがとうございました。
全応募作品1,185点の中から厳選なる審査の結果、次の作品が入選されました。皆様ご応募ありがとうございました。

鎌倉プロモーションフォトコンテスト 2021年 入選作品

グランプリ

『コロナに負けん!』

『コロナに負けん!』
撮影者:大谷 和男 撮影地:鶴岡八幡宮(二の鳥居)
(撮影者のコメント)
鶴岡八幡宮の二の鳥居前で大きなマスクをした狛犬が、多くの人をコロナから守るように鎮座しているように思えたので撮った。
(審査員からのコメント)
通常の景色ではないのでグランプリに相応しいかどうか迷ったが、自然光と人工光を併用したことによる強いインパクトを評価した。時代を写し記録することは写真表現の特徴とも言えると割り切った。

鎌倉市長賞

思い出橋

『思い出橋』
撮影者:小嶋 典生 撮影地:材木座海岸
(撮影者のコメント)
材木座海岸の小さな橋。色々な思い出が甦ります。
(審査員からのコメント)
夕景とシルエットはよくある題材だが、人物の形が埴輪のようにも見えた。通りがかった犬も含めてどこかユーモアを感じる。誰にでも経験ある思い出の風景だね。

鎌倉商工会議所会頭賞

月待ち

『月待ち』
撮影者:東 ミホ 撮影地:妙本寺
(撮影者のコメント)
夏の夕べ。月の天女が落としたかんざしだという伝説のあるノウゼンカズラと、のぼってくる月を撮ろうとお寺を訪れると山門に黒猫が現れ境内へ導いてくれました。
(審査員からのコメント)
黒猫越しに山門を見たことで物語性が現れた。露出を切り詰めたアンダーな世界が石畳の白さを際立たせて、ノウゼンカズラの濃い赤色がより印象的に見える。

鎌倉市商店街連合会会長賞

松に憩う

『松に憩う』
撮影者:石川 毅 撮影地:豊島屋本店
(撮影者のコメント)
若宮大路から豊島屋を臨むと、松の樹上に鳩の止まっている姿が観光客の眼を愉しませてくれます。豊島屋さんの遊び心は、味覚だけではなく、視覚にも旅の思い出を残してくれるのだなと思います。
(審査員からのコメント)
若宮大路からみると鳩型に抜いた豊島屋の窓がちょうど松の枝に鳩が乗っているように見える。豊島屋の遊び心もそうだが、そのアングルで切り取った作者のセンスに思わず喝采。

鎌倉市観光協会会長賞

江ノ電は生活の中心

『江ノ電は生活の中心』
撮影者:三浦 岳 撮影地:和田塚駅付近
(撮影者のコメント)
和田塚駅付近から望遠レンズで江ノ電を撮影したところ、偶然にも踏切を渡る自転車の前輪に江ノ電がスッポリと収まりました。鎌倉の生活に寄り添う江ノ電を主題とし、作品タイトルとしました。
(審査員からのコメント)
初見は合成かと見間違えたくらい。偶然にも江ノ電がスッポリと自転車の輪の中に収まった。見たいものを虫眼鏡でクローズアップしたような、望遠レンズによる被写界深度の効果。ローアングルにした作者のセンスが実を結びました。

観光賞

伝統の継承を見守る

『伝統の継承を見守る』
撮影者:中沢 賢治 撮影地:鶴岡八幡宮
(撮影者のコメント)
コロナが始まる前年に鶴岡八幡宮の秋の例大祭で日本舞踊が奉納された時の情景です。お弟子さんたちの踊る様子を見守るお師匠さんと先輩の方のようでした。伝統を守り、未来につなごうとする気迫を感じました。
(審査員からのコメント)
コメントから察すると師匠と先輩が、お弟子さんや仲間が踊る様子を見ているところだろうか。二人のそれぞれの表情がいいね。真正面から撮ったことで真剣な心持ちと二人の気持ちがよくわかる。

スマホ賞

独り占め

『独り占め』
撮影者:井上 貴子 撮影地:江ノ島電鉄車内
(撮影者のコメント)
新型コロナの緊急事態宣言下、普段は常にごった返す江ノ電からも人影が消えた。がらんとした車内でひとり座席に落ちる春の光を眺め、否が応でも「非日常」を意識した。
(審査員からのコメント)
現代美術に通じるモダンな作品になった。乗客がいない電車内の座席に、陽光がウネウネと影を落とす。抽象的にも感じるあっけらかんとしたフレーミングが秀逸です。絵画にはない写真だけが持つシリアスな人間不在感がいい。

入選

働く人
『働く人』
煤払い
『煤払い』
後光差す竹林
『後光差す竹林』

撮影者:松本 太志 撮影地: 鎌倉市農協連即売所

(撮影者のコメント)
鎌倉に行った時は毎度立ち寄る鎌倉市農協連即売所、いつもニコニコの優しいおじちゃんの腕がかっこよくて一枚撮らせて頂きました。

(審査員からのコメント)
ポートレイトは写真の特権。被写体の笑顔はそのまま作者の笑顔でもある。二人の間に通い合う気持ちがそのままその場で映像化されるのです。

撮影者:石関 勝敏 撮影地: 鶴岡八幡宮

(撮影者のコメント)
本宮で巫女さんが煤払いしている姿を白叩きで清掃している影を撮りました。

(審査員からのコメント)
煤払いの叩きの白、柱の朱、影の黒。シンプルな映像だからこその美しさ。影は巫女さんの腕だろうと想像することで、動きも感じられるのです。

撮影者:早野 未明 撮影地: 円覚寺

(撮影者のコメント)
円覚寺の境内にて、落ち葉焚きの煙が竹林を漂い、そこへ朝の斜光が差して、神秘的な雰囲気になりました。

(審査員からのコメント)
竹林に漂う煙りに朝日の斜光が差したことで、神秘的な作品になりましたね。伝統的な水墨画に通じる美しさが撮れるのだから早起きは三文の得。

鬼が待ち受けている
『鬼が待ち受けている』
朝早くしか見れないご利益
『朝早くしか見れないご利益』
入口と出口
『入口と出口』

撮影者:金井 一正  撮影地: 鎌倉宮

(撮影者のコメント)
鎌倉宮、参拝前の花手水。鮮やかな色彩の鬼ににらまれながら、手洗いでした。

(審査員からのコメント)
並んだ鬼の顔の素朴な味わいと水面に落ちた紅葉との対比が目を引いた。静かであろう場所に、鬼がカタカタと音を立てるようだ。

撮影者:山岸 富士雄  撮影地: 荏柄天神社

(撮影者のコメント)
人が動きださない早朝に鎌倉を散策しながら学問の神様を祭神にしている荏柄天神社を参拝、門扉前の祭神菅原道真が愛した梅の飾り彫から、本殿が写し出された光景に朝のご利益をいただきました。

(審査員からのコメント)
梅型に彫り抜いた飾り穴から本殿を覗いた面白さ。参拝客がいない時間だからこその成果が嬉しい。作者の喜びが感じられる。

撮影者:山田 圭介  撮影地: 由比ヶ浜海岸

(撮影者のコメント)
穴の中に入った妻を撮影しました。

(審査員からのコメント)
穴から上半身だけ出した面白いアイデアと構図でありながら、被写体の女性は作者の思惑を超越し、日常の魅力に溢れてる。とってもいい写真!

街を抜けて
『街を抜けて』
鏡水
『鏡水』
静かに咲く
『静かに咲く』

撮影者:西澤 優治  撮影地: 極楽寺住宅街

(撮影者のコメント)
極楽寺の小高い住宅街から見下ろすように江ノ電を撮影しました、民家の間をすり抜けていく江ノ電を表現してみました。

(審査員からのコメント)
高所から走る江ノ電車両を流し撮りしたことで、より一層可愛いく見えます。まるでおもちゃの電車みたい。タイミングも技術も確かな作品です。さらにスローシャッターで挑戦したくなる。

撮影者:藤野 輝雄 撮影地: 由比ヶ浜海岸

(撮影者のコメント)
鏡のような浜辺に空がきれいに映り何とも言えない絶景でした。

(審査員からのコメント)
水面に空が映り、画面中央から上下対称になりました。豪華な色彩の空が2倍に増えて贅沢な作品になりましたね。太陽まで二つになって作者の喜びが伝わります。

撮影者:本田 誠 撮影地: 長谷寺

(撮影者のコメント)
毎年のように大勢の人がいない特別な6月の長谷寺。風がなく、静かに美しく咲く紫陽花。こんな光景がみえるのも今年だからこそかもしれません。

(審査員からのコメント)
長谷寺とは思えない光景。人がいないからこそ幻想的な趣きが醸し出されていますね。紫陽花が不思議な雰囲気に感じられるのも、この時この場だからこそです。

火種を運ぶ
『火種を運ぶ』
錦秋への誘い
『錦秋への誘い』
流れ
『流れ』

撮影者:山内 明徳  撮影地: 鶴岡八幡宮

(撮影者のコメント)
雨上がりのしっとりとした中で行なわれた左義長神事。サイトはあっという間に燃え上がり、神職の方も火種を運ぶのを急いでいる様子でした。

(審査員からのコメント)
左義長神事の始まりでしょうか。神職の方の急いでいる緊張感がよくわかります。その時、その場での1回限りの出来事だからこそドキュメントの価値があるのです。

撮影者:荒 良英 撮影地: 円覚寺

(撮影者のコメント)
円覚寺総門が扉を開いて、錦秋の世界へと誘っているようでした。総門が額縁となって紅葉を引き立てているようにも見えました。

(審査員からのコメント)
タイトルは「錦秋への誘い」とあります。作者の思いがそのまま作品に現れていますよ。紅葉の赤と総門に付いた時代色が対の美しさを引きたてています。

撮影者:佐久間 芳之 撮影地: 建長寺

(撮影者のコメント)
秋が深まる午後、鎌倉を見渡す山の上に立つ。秋の霞と落ち葉を焼く煙の醸し出す風情に、季節の移ろいを感じた。

(審査員からのコメント)
昔の「国見」を彷彿とさせる風景です。朝食(あさげ)の立ち登る煙の代わりに落ち葉を焼く煙と霞。これも歴史ある鎌倉を思わせる風景です。

春の宴・開幕
『春の宴・開幕』
SNOW SCOPE
『SNOW SCOPE』
和賀江島からの富士山
『和賀江島からの富士山』

撮影者:間下 光義 撮影地: 鶴岡八幡宮

(撮影者のコメント)
いつも混んでいる八幡様の牡丹園もコロナの影響で人影もまばら。満開の桜が寂しそう。いつもと違う世界。

(審査員からのコメント)
本来なら桜と宴の模様が見えるはず。人がいないことはむしろチャンスなんですよ。当たり前の風景が非日常的に変貌する。作者の想像力があればですが。

撮影者:加藤 順子 撮影地: 極楽洞

(撮影者のコメント)
3月の春が近づく雪の日、江ノ電300形が、極楽洞の入口から出口側の冬の雪の日を覗き込み、雪はきっと万華鏡のように散りばめられて見えるのかなと想像してみました。

(審査員からのコメント)
トンネルの闇と入口出口を利用した高級な作品です。写真は何が写るのか、良い写真を撮るためには何が必要か作者はよく理解して撮っています。力量を評価しました。

撮影者:足立 尚史 撮影地: 稲村ヶ崎

(撮影者のコメント)
冬の鎌倉は富士山がよく見えるところがたくさんあります。材木座海岸の東の端飯島にある日本最古の築城和賀江島からはちょうど稲村ヶ崎の切通の真ん中に真っ白な富士山が見えます。

(審査員からのコメント)
稲村ヶ崎の切り通しから見える富士山。鎌倉ならではの風景、なんですが、望遠レンズを使い、こう撮りたいという作者の強い思いが反映された美しい瞬間です。

ショーウインドウから跳んでゆけ
『ショーウインドウから跳んでゆけ』
鎌倉宮の巫女舞
『鎌倉宮の巫女舞』
ひょっこり
『ひょっこり』

撮影者:田崎 弘晃  撮影地: 鎌倉彫 陽雅堂

(撮影者のコメント)
鶴岡八幡宮前の陽雅堂様にて、ショーウインドウに飾ってあったミニチュアのぽっくり下駄に彫られているウサギの細工がとても綺麗だったので1枚撮らせていただきました。

(審査員からのコメント)
タイトルは「ショーウインドウから跳んでゆけ」。まさにタイトルが作品の全てを表現しています。その想像力が写真を撮るときに最も必要なんです。

撮影者:浅井 誠章  撮影地: 鎌倉宮

(撮影者のコメント)
以前から応募しているコンテスト。他のコンテストはちょくちょく入選してはいるのですがなぜか地元のコンテストで入選できないもどかしさ。念願かない正月から撮影に励んだ甲斐がありました。ありがとうございます。

(審査員からのコメント)
巫女さんの瞳に惹きつけられる。このような真剣なまなざしを見せられると、気持ちを正したくなる思い。白い衣装に包まれた美しい写真。

撮影者:岡崎 美樹  撮影地: 鎌倉大仏殿高徳院

(撮影者のコメント)
山門から見えた大仏さまが、ユニークで可愛らしかったです。

(審査員からのコメント)
山門の屋根の上から大仏さまが顔を出す。大仏の大きさを感じさせると同時にどこかユーモアさえも感じてしまう。作者の余裕がこのような作品を生むのだろう。

総評

 2020~2021年はなんといっても全ての分野でコロナの影響が大きい1年でした。自由に外出することもままならず、人に会うことすら憚られる時世に、観光協会主催のフォトコンテストに作品が集まるのか懸念していました。にもかかわらず、1,185点の応募があり、予想外の多さに審査員としては驚き喜んでいます。作品の内容、質の高さについても例年と変わらず、むしろ今までにない特徴ある作品もありました。
 グランプリに選んだ「コロナに負けん!」は、鎌倉の象徴とコロナ現象が無理なく結び付き、自然光と人工光の併用で強いインパクトを感じます。優秀作品の中では、スマホ賞に選んだ「独り占め」の現代的な切り取り方が印象に残りました。優秀作品以外にも「入口と出口」の写真は表現に意外性があり、新しい楽しみ方に通じるかもと思いました。
 選んだ作品には、簡単ですがコメントをつけましたのでこれからの写真撮影の参考になれば幸いです。次回2021~2022年度のフォトコンテスト時はコロナも収束し、さらに自由な写真表現を期待します。

十文字 美信

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